前回、こちらの記事では、新型コロナウィルスのワクチンに関する英語を取り上げました。
コロナ禍で日常語になった英語由来の言葉といえば、何を思い浮かべますか?例えば、日本でもすでに定着しているロックダウンという言葉ですが、どのような意味で、英語ではどう使われているかを知っていますか?
今回は、そうしたコロナ禍で日常語となった英単語について取り上げます。
ロックダウン
日本語では「都市封鎖」などと訳される ロックダウン は、英語で
と書きます。
フレーズとしては、
- be in lockdown ロックダウン状態である
- go into lockdown ロックダウンされる
- put A on lockdown Aをロックダウンする
などが使われます。
その都市は4人の市民が新型コロナウィルスの陽性になってからロックダウンされている。
- test positive 陽性となる
日本の緊急事態宣言と同様、海外でもロックダウンは状況に応じて延長されます。「延長する」と表現する場合は extend が使われます。
政府は現在のロックダウンを今月末まで延長した。
- current 現在の、現行の
人々の自由な移動を制限するために封鎖するのがロックダウンですが、その他にも国によってさまざまな感染対策のための規制があります。
私のいたオーストラリアでは、新型コロナウィルスの感染が確認されると、素早く州境を閉鎖します。
国境や州境を「閉鎖する」と言いたいときは、shut down や close が使われます。
タスマニア州は、オーストラリア本州での新型コロナウィルスの流行が続いているため、サウスオーストラリア州との州境を閉じた。
- in response to ~に応じて、答えて
- outbreak 感染症の勃発
outbreak は下でも詳しく取り上げます。
緊急事態宣言
緊急事態宣言 は、英語で
と言います。declaration は「宣言」、state は「状態」、emergency は「緊急」です。他にも、state of emergency declaration や emergency declaration などと言います。
緊急事態を宣言する は動詞の declare「宣言する」をつかって
- declare a state of emergency
となります。
日本政府は新型コロナウィルスの感染拡大をうけて、緊急事態を宣言した。
- due to ~のせいで
- spread of ~の広まり、蔓延
パンデミック
「感染爆発」などと訳される パンデミック は、英語で
と書きます。
ところで、pandemic と似た言葉に epidemic という英単語がありますね。そして「感染症の大発生」を意味する outbreak という言葉もあります。これらの違いは何でしょうか?
まずは outbreak 。段階的に広がる傾向がある感染症の流行について、最初に起こるのが outbreak です。特定の区域や集団など限られた範囲内で、感染症が大流行することを意味します。
そして outbreak が起こり感染症が最初に急増した範囲よりも広い地域に拡大すると、epidemic と呼ばれます。
さらに、epidemicが地理的に広がり、世界規模で流行した状態が pandemic です。
新型コロナウィルスの大流行は世界の経済成長を遅らせた。
- slow ~を遅らせる
ソーシャルディスタンス
コロナ禍の日本では ソーシャルディスタンス という言葉が定着していますが、世界では
ソーシャルディスタンシング が感染予防の意味で使われています。
英語での social distance は社会学で使われる用語で、「社会における異なるグループ間にみられる心理的な距離」を指します。一方、social distancing は「感染拡大を防ぐため物理的距離を保つこと 」という感染予防戦略の一つです。
distance は
- 距離、隔たり (名詞)
- 距離をとる (動詞)
という意味ですね。そして distancing は、動詞の distance に「ing」がつくことで動名詞(~すること)になっています。つまり、意味的には動詞の distance ですが、これを名詞として使うために「ing」をつけて動名詞にしている、ということです。
ソーシャルディスタンスを実践することは、自分だけでなくすべての人の安全のためである。
- practice ~を実行、実践する
また、感染拡大を防ぐために、物理的に距離をとることという意味で、WHO(世界保健機関 )では physical distancing 「フィジカルディスタンシング」という言葉を使っています。
クラスター
こちらもコロナ禍で定着した クラスター 。英語では、
と書きます。
cluster は「同種の群れ、集団」のことですが、新型コロナウィルスの文脈では、 集団感染 の意味で使われます。
5人の生徒が新型コロナウィルスの陽性となった学校で、クラスターが確認された。
おわりに
いかがでしたか。
最後にもうひとつ。一見英訳しにくいように感じる日本のまん延防止等重点措置は、semi-emergency coronavirus measures や quasi-state of emergency などと訳されています。quasi は「半」や「準」といった意味です。
ぜひ日々の英語学習の参考にしてください。
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